
●概略
個人にとっては時間が長く感じられるかもしれませんが、実際は短時間で過ぎ去ります。循環器内科や耳鼻咽喉科などのさまざまな科目で検査を受けても、異常は見つかりません。しかし、予期不安に苛まれ、「もしもまた同じようなことが起こったらどうしよう」という考えに捕われる人もいます。外出すると誰にも助けを求めることができず、一人でいると何かあった場合に困るという理由から、家に閉じこもってしまう人もいます。また、「自分の精神力が弱い」と自分を責める人もいます。パニック障害は、少量の抗鬱剤とベンゾジアゼピン系の精神安定剤の併用が有効です。最初は一日に2〜3回、定期的に服用することで、より安定した状態を維持できます。治療の最終段階では、頓服として安定剤を服用するだけで、症状を管理できる人が増えています。薬を財布に入 れることで「お守り代わり」として安心する人も多いようです。
認知・行動療法も効果的です。心理学のコーナーには、多くの解説書があります。また、認知療法のセルフトレーニングのための書き込み式の本もあります。
Panic disorder
パニック障害
パニック障害は、動悸、胸の圧迫感、呼吸困難(息が詰まる感覚を持つ人もいます)、発汗、吐き気、めまいなど、非常に強い不安状態を引き起こす病気です。突然に発症することが多く、電車やレストラン、映画館、美容院など、自分で簡単に脱出できない場所で発作が起こることが多いです。症状をこらえているうちに15分ほどで自然と軽快になることが多いです。
●概略
幻覚や妄想 などの症状は、治療において中心的な役割を持つ薬物療法により、徐々に軽減していきます。慢性期においては、感情の平板化や意欲の低下などの症状が見られる場合がありますが、そのような場合には、意欲を促進する効果のある薬剤を投与することがあります。また、デイケアにおいては、生活技能訓練、認知療法、行動療法などを行い、症状の改善や安定をめざす場合もあります。一回の統合失調症の経過としておおむね前兆期⇒急性期⇒休息期⇒安定期をたどることが多いと言われます。
Schizophrenia
統合失調症
統合失調症の特徴的な症状には、妄想、幻覚、思考の混乱、意欲の低下、感情の鈍麻などがあります。この疾患の発症率は、0.7-0.8%前後であり、一般的に15歳から40歳にかけて発症することが多いとされています。統合失調症の原因には、ストレスや環境要因の他に、現在では脳内神経伝達物質の一つであるドーパミンが過剰に分泌されることが、幻覚や妄想などの症状が出る原因になるとする「ドーパミン(受容体遮断)説」があるとされています。
●概略
夜はほとんど眠れず、朝も3時や4時といった非常に早い時間に目 が覚めるため、疲れがとれずに一日中だるさを感じるようになります。また、食事の味がわからなくなり、何も楽しいことがないため、無理やり口に食べ物を入れているような状態に陥ります。このような状態が悪化すると、「自分が過去に中絶をしたため、今の苦しみは自分が招いたものだ」と自己責任の妄想に陥ることがあります。また、「お金がなく、どうしようもない状況にある。もう死ぬしかない」といった貧困妄想や、「身体がつらく、体重が減っている。私はガンにかかっているに違いない。もう余命は残りわずかだ」といった心気妄想に陥ることもあります。
さらに、自殺を企てることもあります。生きていても何の希望も見いだせず、生きることが苦痛になってしまうため、「死んだほうが楽になるのではないか」と思い、自殺を考えることもあります。
Depression
うつ病
意欲が低下して、やる気が出ず、家事や仕事を強制的にこなすようになります。何をしても面白味を感じられず、以前は好んで見ていたテレビ番組も興味を失ってしまいます。また、頭が働かないような感覚に襲われ、仕事の生産性が低下するようになります。このため、自信を失い、不安感が高まるようになります。本来は几帳面で完璧主義者なため、思った通りに作業ができないことに対して罪悪感を持ちがちで、自分を責めます。何をしても楽しいとは感じられず、横になっても気が散ってしまうため、落ち着かなくなります。いらいらしている一方で、自分が怠惰であるか、精神力が弱いからだと考え、人によっては死ぬ方がましではないかと悩んでしまうようになります。